自分の中で、ドイツっぽい家と言えば、、「Fachwerkhaus : 木組みの家」である。ソレとの出会いは、大学の卒業旅行で見たニュルンベルグやバンベルグの街並みだったような気がする。
Nürnberg : ニュルンベルグのカイザーブルグなど。(街の様子はこちら)。
Bamberg : バンベルグのお城と内部。(街の様子はこちら。)
元々、建物や街並みを見てまわるのが好きであり、何でもない街角を曲がった時に、えも言えない景色が広がっている時のワクワク感と言うのは、旅をした人にしかわからないものだとも思っている。今回ドイツに来てから、結構多くの場所を周ってきたけど、そしてたくさんの素晴らしい街並みを見てきたけど、やっぱり一番好きな景色は木組みの家が並ぶ街並み、そして木組みのデザインだと感じている。
「木組みの家」は、ドイツ語では"Fachwerkhaus"と言い、ドイツやその周辺国に多く残っている建物である。
14世紀ごろからこういった建物が南ドイツを中心に現れ、15〜16世紀にかけて盛んに建造された。現在ドイツには250万戸以上の木組みの家が残っており、近年、保存の動きが活発化し、その一環として1990年にドイツの北から南まで、木組みの家が特に多く残る街、約100か所をつないで全長約2800kmに及ぶ「木組みの家街道:Fachwerkstraβe」なるものが作られた。らしい。
これは、、、、行くっきゃない!
(実際の所、大きな都市や元々有名な街を避けて街道が設定されている様な気がするので、多少、、いや結構商業的な香りもするけれども、、、でも小さな街を訪れるいい情報であることには間違いないので良しとしよう。)
なお、パンフレットはこちら(PDF ダウンロード)もしくはこちら(PDF ダウンロード)。
1.街道マップ(ドイツ全土)
ドイツ全土に及ぶため、なかなか一枚の写真ではわかりにくい。なので、以下に地域ごとに分けて表示してみることにする。
2.街道マップ(地域別)
1) 北ドイツ
このエリアは大都市(ハンブルグやブレーメン)しか行ったことが無いので、次に行くときはこの辺の小さい街を目的に訪れてみたい。そして、北ドイツの田舎街を味わってみたいもの。
特に、北ドイツの"Fachwerkhaus : 木組みの家"は南部のソレとも構造が違うところがポイント。南ドイツの構造は、下の写真にあるように、結構複雑であることが多く、強度面では関係のない装飾も多い。しかし、北ドイツの構造は比較的シンプルなものが多く、縦横の梁と柱でのみ構成されていたりする。
左がRostock、右がWarnemünde の建物。(街の様子はこちら。)
左がLübeck、右がBremenの建物。(街の様子はこちら。)
こういったシンプルな木組みの家は、これはこれで可愛いし、さらに小さな家が多いので、もっとたくさん並んでいる街を見つけたい。そんな街が,筬△粒稿傘茲い砲っとあるんだろう。。(詳細は、いずれ訪れるので、その時のお楽しみ、という事で。。。)
Hamburg:ハンブルグ 〜 Hannover : ハノーファー 西側 ルート
北ドイツの西寄りルート。我ながら右の地図バージョンの方がわかりやすいな…。。(自己満足)
北ドイツ : Hamburg:ハンブルグ 〜 Hannover : ハノーファー 東側 ルート
北ドイツの中央寄りルート。
2) 中央ドイツ
ざっくりと"中央ドイツ"と言うくくりにしてしまっているが、、このエリアは、南の細かい細工が施されたFachwerkhausもあれば、北ドイツで見られるシンプルなものもあり、入り混じっている。
ライン川沿い、Koblenzのそばにある"Rhens"の建物。(街の様子はこちら。)
こちらもライン川沿い、川下りとワインで有名な Rüdesheim : リューデスハイム の近く "Bacharach : バッヒャラッハ" の建物。(街の様子はこちら。)
そしてFrankfurtの有名なレーマー広場。
北ドイツに比べると細かい構造になっていることが良くわかる。そして、斜めの梁も多くみられ、さらに、梁の形に細工がなされていたり、明らかに構造的には必要のない飾り構造も見て取れる。この辺は南の影響だろう。
中央ドイツ北部 : Göppingen : グッピンゲン 〜 Erfurt : エアフルト ルート
中央ドイツ北部 : Hannover : ハノーファー 〜 Frankfurt am Main : フランクフルト ルート
中央ドイツ西部 : Frankfurt am Main : フランクフルト北西部 ルート
中央ドイツ南部 : Frankfurt am Main : フランクフルト南部 ルート
(なお、赤枠の街は訪れたことのある場所。後日改めてアップ予定。)
3) 南ドイツ
南ドイツはとにかくFachwerkhausが多くみられる。この街道沿いにしかないわけでは無い。ミュンヘン方面にも、ライン川の流れる西側に行ってもたくさんのFachwerkhausを見ることが出来る。とにかく複雑な模様が多く、かつ家の規模も大きいものが多い。個人的には、こういった南のFachwerkhauが好みである。
Stuttgart近郊の街"Esslingen : エスリンゲン"にて。もはやデザインの一つとなっていて、曲線の形状も多くみられる。
半年ほど住んでいた"Kirchheim unter Teck : キルヒハイム(テック)"にて。南部の街では、市役所や教会も木組み構造になっていることが多い。左は市役所。(街の様子はこちら。)
Stuttgartの南部に位置する街、Tübingenにて。1枚目はお城だが、ここにも木組み構造が使われていて、石造りとうまくマッチングさせている。また、2枚目の様に、かなり大型のFachwerkhausも結構見られる。(街の様子はこちら。)
(Tübingenにて。)力学的な意味がきっとあるんだろうが、接合部がかなり複雑に入り組んでいるのも、南ドイツに時々見られる構造の一つ。
南ドイツ : Heidelberg : ハイデルベルグ 〜 Bodensee : ボーデン湖 ルート
なお、赤枠の街は訪れたことのある場所。街の様子は以下参照
・ Fachwerkstraβe 木組みの家街道 : 南ドイツ その1
・ Fachwerkstraβe 木組みの家街道 : 南ドイツ その2
まだまだ行ったことのない街が多く、時間を見つけて少しずつ制覇していきたいと思う。あんまり連続で見ても飽きちゃうので、、ほどほどにしながら。。だいぶ時間はかかりそうな分、ドイツの街並み探索がまだしばらく楽しめそうである。
コメント
コメント一覧 (3)
私はデュッセルドルフの駐在員です。会社辞令でドイツに来て木組みの魅力に取り憑かれています。
「ドイツ古城と聖堂」魚住昌良著を読んでいたら、ディンケルスビュールの記述で、「フランケン風、シュヴァーベン風の混じった木骨家屋(フリガナ ファッハヴェルク)も多数残っているが」という記述がありました。木組みでもフランケン風とシュヴァーベン風の様式の違いがあるようですが、ドイツ語サイトなど調べてもよくわかりませんでした。
もしフランケン風、シュヴァーベン風の様式の違いについて何かわかりましたら、ぜひご教示ください。
コメントありがとうございます。木組みへの愛と言いますか、、雰囲気に惹かれているだけなので、それほど詳しいわけでは無いのが申し訳ありませんが、私なりに少しネットで調べてみました。
wikipedia の "Fachwerkhaus" の "15. Jahrhundert" の所に参考となりそうなことが書いてあります。フランケン風は"Fraenkisches Fachwerk" ,シュヴァーベン風は恐らく"Alemannisches Fachwerk" の事だと思います。そのほかにも"Niedersaechsisches Fachwerk"にも分けられるようですね。"Alemannisches Fachwerk"はwikipediaのページがあるので、その中でも違いがあることが書かれています。
"typisches fraenkisches Fachwerk", "typisches alemannisches Fachwerk", "typisches niedersaechsisches Fachwerk" でgoogle 画像検索を行い、比較してみましたが、"Niedersaechsisches Fachwerk"は私が書いているように北ドイツで見られる、四角い構造が多いように感じます。一方、"Fraenkisches Fachwerk" と "Alemannisches Fachwerk" は斜めの梁があり、いわゆるトラス構造に近いように感じます。
その二つの違いは微妙ですね。私的には"Fraenkisches Fachwerk"はX構造やそれに装飾を施しているものが多いように感じます。一方の"Alemannisches Fachwerk"は斜めに1本の梁が入っているものが多いように感じます。wikipediaによれば、時代による変化も大きいようですので、同じ時代の建物を比較してみて行かないと一筋縄ではいかないようですね。
興味の延長線上という事であれば、デュッセルドルフ駐在員さんも自分なりの違いを見つけてみるのが良いかと思います。あとはwikipediaのLiteraturの所にある本を手に入れてみるのも面白いかもしれません。
回答になっておらず申し訳ございません。何かいい情報が入りましたら教えてもらえると嬉しいです。
今後ともよろしくお願い致します。
検索キーワードを教えていただいて、画像検索で比較することができました。大きな進歩になって、大変助かりました。ありがとうございます(^o^)
たしかにFraenkisches FachwerkはX構造に装飾を施したものが多いですね。
Fraenkisches FachwerkとAlemannisches Fachwerkは装飾やトラスは似てますが、はっきりとした違いがわかりました。
◉Fraenkisches Fachwerkの構造はStanderbauweise(直訳スタンド構造)
◉Alemannisches Fachwerkの構造は
Rahmbauweise(直訳フレーム構造または階建て構造) ★進化版★
以下、Rahmbauweiseのウィキペディアです。Standerbauweiseとの比較の図解があります。
https://translate.googleusercontent.com/translate_c?depth=1&hl=ja&nv=1&pto=aue&rurl=translate.google.com&sl=auto&sp=nmt4&u=https://de.m.wikipedia.org/wiki/R%25C3%25A4hmbauweise&usg=ALkJrhgffeqZ-fo72Ios_pJ4JYXt7giV-w
日本語訳が自動翻訳なのでヘンテコかもしれませんが、一部抜粋です。
「各床が下の床より少し上に突出する可能性があります。上階を歩道や通りを越えて押すことで、狭い区画でもう少しスペースが増えました。下のうねりはまた、正面と屋根からの突起によって雨を降らせることによって、水が降り注ぐことから保護されました。」
Alemannisches Fachwerkの構造は中世後期に盛んになったRahmbauweise(直訳フレーム構造)です。進化版です。
Alemannisches Fachwerk
を画像検索で写真を見ると、各階の境目に木材が組まれて段差になっていて、上階にいくに従って床面積が広くなっています。
これからは木組みの建物を見るときに、各階の境目が段差になっているかに注目したいと思います。
進化版は中世後期の建物ということも推測されますよね。
私はドイツ語が話せないので、ネットでの情報収集には苦労するのですが、のっち茸さんのおかげで木組みのスタイルの違いが1つわかるようになりました。本当に感謝します。