更新:2019年8月前提追記

なかなか衝撃的なタイトルではあるが、、、
人生初の裁判をまさかのドイツでおこすことになってしまったので、経過を書いておこうと思う。

10007517_1600

ドイツもアメリカ程では無いにしても、何か問題が起きるとすぐに訴訟で解決する国らしい。特に労働関係、交通関係、夫婦関係などは。なので、そういったプライベートの保険も多く存在する。ここでは、経験談として、日本語で対応してくれる保険代理店を介して訴訟に至る経緯を書いてみたいと思う。

その代理店の話では、保険に入っていなくて痛い目を見たり、泣き寝入りをしている人も多いらしい。ドイツに住むにあたって、こういったことも考えておいた方が良い、と言う一つの例として、心に留めておいてもらえると嬉しい限りである。


0.前提
思いのほか反響のあるこの記事で、たくさんのコメントやメッセージを頂き、中には未払いや異常な労働環境を語ってくれる方もいる。残念ながらそれが現実。それも現実。
とは言え、ドイツで夢を持って働いている人や働こうと思っている人を不安にさせるつもりはまったく無い。人それぞれ価値観が全く違うので、同じレストランでもある人は充実して夢をもって働けても、ある人はオーナーに恨みを抱くこともある。それは仕方ないこと。
実際に、私がヴュルツブルグで働いていた時、非常に忙しい職場で休憩も取れずに長時間働くことも多かったし、休憩時間を使って魚をさばくこともあった。が、ものすごく充実していたし、今でもすごくいい職場だったと感じている。しかしながら、同僚の中には急に辞めていく人もいた。結構いた。
サラリーマン経験者として思うに、レストランの職場と言うのは少数の人と毎日顔を合わして毎日同じ仕事を行うので、普通の会社に比べて同僚とのかかわり方がかなり深くなる。さらには海外でありドイツ語がしゃべれない場合はもっとだろう。
私自身も途中で嫌になって辞めたい時も何度もあった。仕事はきついし毎日同じだし、、、でも人間関係って本当に不思議で、嫌でも一緒にいると、ふと居心地よくなったりもすることもある。その逆もしかり。そんな繰り返しで、どんどんいい方向に転がっていったのがヴュルツブルグのお店。その過程には自分なりの息抜きもあったし、同僚との仕事外での付き合い方が変わっていったことも影響している。

何が言いたいかというと、ネガティブな状態の時はこういったネガティブな情報収集に走ってしまいがちだけど、何がしたいかを改めて考えるすごくいい機会でもある。今の仕事を自分のどの位置に置くか考えてみたり、新たな趣味などを作ってみたり、、もちろん新たな職場で新規一転がんばろう、と思ってみたり、、結果としてポジティブな方向に持って行ってほしい、そう願っている。この記事を読んで、さらに落ち込んでほしいわけでは無い。

こんな経験したけど、次の職場は結果としてものすごくいい職場になった。でもものすごくいい職場と感じるまでには色々な浮き沈みもあった。そんな過程を頭に入れた上で読んでもらえれば幸いである。

では本題へ。。。


1.訴訟の背景
前職場 "Sushi Samurai (Kirchheim unter Teck)"。ここのドイツ人オーナーがなかなかひどいヤツだった。2015年4月〜2015年9月まで滞在したが、2か月目から給料の遅延が2週間ほど。そして4か月目には分割での支払いになり、全てが振り込まれるまでに1か月ほどかかるようになっていた。

IMG_6905_1600IMG_7710_1600

こちら(2015年の総括と2016年の展望)にもざっくり書いたので参考までに。

元々、就職先を探していた段階で、"日本人やアジア人経営のお店ではなく、ドイツ人経営のお店の方がしっかり几帳面にしていて、業務管理もしっかりしているだろう" と言う勝手なイメージを持っていたこともあって選んだ"ドイツ人経営のお店"。 が、、、全く違った。もちろん、勤務形態はなかなか良かった。閉店時間にはきちんと終われるし、福利厚生を含めて、悪くはなかった。が、、お金の管理面が異常に最悪だった。税理士も雇っていたのに、よっぽどオーナーがダメだったんだろう。。。ちなみに、このオーナーは過去にもいくつかのお店や工場をダメにしてきていて、過去にも従業員と給料でトラブルになっているとも聞いている。

"Sushi Samurai" では、1日8時間勤務の契約で、それ以上の勤務は残業として扱われ、有給休暇もあった。ただ、残業時間は基本的に残業時間口座に貯められ、あるタイミングでお金もしくは休みとして消化できるようになっていた。そういった労働契約に基づいて、たまっていた残業時間分と有給休暇分は最後にお金で払ってもらうことになっていた(口約束)。

9月中旬に転職後、1か月たっても2か月たってもなかなか振り込まれない最後の2か月分(8月、9月)の給料と残業・有給休暇分のお金。総額は、、、為替レートにもよるけど、、ざっくり40万円ほど。

楽しく過ごしていたKirchheim (Teck) での半年が、どんどん暗闇に包まれていく気がした。


2.弁護士保険に加入する
"Sushi Samurai" で働き始めて3か月が過ぎるころ、あまりに不安定な給与支払いに不安を覚えたため、弁護士保険に入ることにした。日本人の友人から紹介してもらったのが下の保険代理店。日本人が常駐していて、日本語で対応してもらえるのがうれしい。実際に、訴訟を起こす時に、ドイツ語ではとても対応できないので。

トランスクーラ … デュッセルドルフの保険代理店(保険ブローカー)。

Googleで検索すると他にもいくつかの代理店が出てくるけど、、他は良く知らないので割愛。。

トランスクーラの弁護士保険はいくつかの分野に分かれている。
Transkura 01

こちらがトランスクーラの説明資料。この中の、「C.個人生活」の中に、"労働契約関係を含む" 契約があるので、それが今回の様な事案に適応される。

個人生活(労働契約関係を含む)対象の弁護士保険の費用は年間140€ほど。他の対象項目(交通関係など)も組み合わせて契約すると、だいぶお得になる。個人的に自転車をよく使うので、交通関係も併せて契約をして年間200€程。事故などを起こした時の対処法がわからないし、何が"普通"かわからないので、その安心を買うと考えれば、決して高くは無いと個人的には思う。

ちなみに、トランスクーラの弁護士保険は "Roland" の保険となる。
10007517_160010007518_1600


ここまで弁護士保険を紹介しておいて何なんだが、、、、
今回、この弁護士保険は残念ながら使うことが出来なかった。すべて自費での訴訟である。

最も大事な注意点が、上記トランスクーラの説明資料の通り、弁護士保険には "3か月の発行待ち期間" があるという事。つまり、申し込んで3か月後以降に発生した事案でないと保険対象にならないという事。今回は、そのことがわかっていながら、転職したので、対象外になってしまった。

ちなみに時系列ではこんな感じ。
6月15日 弁護士保険加入 ⇒ 9月15日〜保険効力開始
に対して、9月15日付で "Sushi samurai" 退職。
訴訟の請求分 : 8月、9月分の給料、残業分と有給休暇分(退職時に受取る分)

という事で、次に書く分の費用が自腹となってしまうわけである。まぁ、転職のタイミングと言うか、良い職場との出会いと言うのは突然だし、今回はそのタイミングを重視しての決断だったので、何の後悔もないが。


3.訴訟の進め方と弁護士費用
もちろん、訴訟には様々な事案があるし、様々な攻め方があるだろうから、今回の経験は一時例でしか過ぎないだろう。あくまで、今回かかる費用を訴訟の流れと共に書いておく。なお、現時点で闘争中なので、詳細は割愛している。"その2" で詳しく書く予定である。

弁護士へ依頼
弁護士から元雇用主へ給与請求(書面) 2回
 ・ 1回目の給与請求に対して、元雇用主からの返信があり、違う主張が書かれていたため再度2回目の請求を行った。
 ・ 書面には、指定した期日までに支払いが無い場合は、理由如何に関わらず訴訟に踏み切ることが書かれている。

この書面作成及び対応に対する費用として€200。なお、個人的に元雇用主とやり取りを行うことは一切無い。すべて弁護士が対応してくれる。

訴訟資料の作成・労働裁判所への提出及び対応
訴訟の開始(裁判所への出廷、交渉など)

訴訟終了までの費用が€1,100。(ただし、得られた未払い給与が裁判費用を下回る場合については別で取り決め済み。自費出費が無いように配慮してくれた。)

つまり、全てがうまくいった場合は、トータル€1,300 が今回の訴訟費用となるわけである。なお、この弁護士費用と言うのは、"ドイツ弁護士費用法" と言う法律に基づいて計算されるらしく、訴額(請求額)によって変わってくるとのことである。


4.訴訟の経過
現時点で闘争中の案件なので、細かい資料などはアップできないが、現在、第一回口頭弁論の直前であり、いよいよ始まるところである。長引くと1年かかると言われているが、普通は示談の方向にもっていくらしい。

しかしながら、今回は、もちろんお金は重要だが、労働者をコケにした見方を持った前雇用主が許せないため、一切の妥協をするつもりはない。(なぜなら、一緒に働いていた日本人も被害にあっていて、一部は泣き寝入りしているため。) 

この経緯については、いつになるかわからないが、"その2" で書きたいと思う。


5.就労中にやっておいた方がいい事(訴訟で必要な資料)
ここが一番ポイントだと思う。特にドイツに来て飲食で働く人は、なかなかちゃんとすべての条件がそろったきちんとした職場と言うのはそうそう無いもの。人の話を聞いても、結構な確率で給与関係のトラブルの経験があったりする。そういった時のために弁護士保険があるわけだけど、実際に訴訟を起こすとなると、色々と証明しないといけないものがある。あとから思い出して準備するのはなかなか大変な事なので、普段働いている段階から以下のようなものを準備しておくことをお勧めする。

 ゞ侈慨浜表 … これを個人でつけておくことが最も重要。時給制の給与形態の場合は特に。さらに、その紙にオーナーのサインをしてもらう。

"Sushi Samurai" の場合、手書きの勤務管理表を毎日自分でつけて、毎月それを提出していた。そしてそれを個人的にエクセル管理をしていた。と言うのも、提出した勤務管理表と給与明細の働いた時間が頻繁に違っていたし、毎月積み立てられるはずの残業時間に至っては、めちゃくちゃな管理しかされていなかったからである。そのため、毎月、総労働時間と残業時間を明確にして、オーナーに突き付けていた。

ここで飲食業の大前提。お店が支払う税金を減らすために、紙面上の給与額を抑えようとする。そして、紙面上の金額が振り込まれるのとは別で、契約賃金との差額を現金で手渡しされる。こんなことが日常茶飯事に行われている。感覚的には日本の飲食業よりもドイツの飲食業の方が状況はひどい気がする。(たぶんだけど、ヨーロッパはチップ制なので、宙に浮いた現金がどうしても発生してしまうこともあり、現金での手渡しがしやすいんだと思う。)

この大前提をふまえた上で、Sushi Samurai の話に戻ると、紙面上での労働時間や残業時間がまぁそれはめちゃくちゃだったわけである。2か月目の給与明細があまりにおかしくて、控えていたエクセルデータを示して説明を求めたら、「税金対策でそうやっている。きちんとした数値は別で管理している。」とヌケヌケと言う始末であった。が、そこでもう一歩詰めておくのを忘れていた。そう、その言葉を鵜呑みにして、オーナーのサインをもらわなかったわけである。

Arbeitsstundenfuehrung 01

ちなみにこんな感じでデータを毎日つけていた。下の方に総労働時間と残業口座へ入る時間数、予備として土日祝日の時間も出るようにしている。ここに、サイン欄を付けて、毎月オーナーにサインをさせるべきだった。。。

とは言っても、こういった管理表を弁護士に見せたところ、これだけきちんとつけているなら資料として使える、と言ってもらえたので、きっとこれでうまくいくだろう。

給与などの重要案件をやり取りする時は、書面で … 何かトラブった時、大きな不祥事が生じた時は、書面にこちらの要求を書いて、渡す。書面に日時を明記することを忘れずに。

ここが、今回もっとも足りなかったところ。未払い給料の請求を、毎回メールで行っていた。何度も何度も送ったが、全てメールのみ。日本でもそうだけど、メールは公的な資料としては認められない。もちろん参考資料にはなるので、何もしないよりは良いが。どんなに簡潔な手紙でもいいので、「請求金額、支払期限」 だけでも送り付けるべきだった。

と言うのも、Sushi Samurai の "Tarifvertrag:労働協約" に "すべてのクレームは4ヶ月以内に入れられなければならない" と書かれており、弁護士に相談したのがその4か月が経とうとしていた時期だったため、弁護士からの正式な請求書が4か月よりも遅れてしまった、と言う経緯がある。それまでの間に正式に(書面で)要求していれば、その弱みを持たなくて良かったというわけである。なので、労働裁判に当たっては、その点だけが弱いのである。はたして、向こうの弁護士がそこを攻めてくるかどうか。。。

そういった弱みを持たないで済むように、労働契約書と労働協約がしっかりと目を通しておくべきである。(ドイツ語なので読むのはもちろん大変なんだけど。。。) そして、話は元に戻るが、ややこしい話をするときは、要求を紙に書いて渡すこと、である。

働く上で、気にかけておくことはそのくらいだろう。とにかく、職場が何かおかしいな、と思ったら弁護士保険に入って、色々な面で用心しておくことである。そうやっていれば、何かあっても弁護士が守ってくれる!!

続きは "その2(ドイツで訴訟 その2 〜未払い賃金請求の決着〜)" へ

と言うことで、これからが本番なので、この先どうなることやら。と言うより、給料未払いって意味が分からない。最悪な前オーナーには絶対に負けない。って言うか、負けてたまるか。正直、お金よりも意地である。
あーーー、面倒くさい話にまきこまれてしまったもんだ。。