更新:2019年8月 体験談追記

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その1(ドイツで訴訟 その1 〜弁護士保険と未払い賃金請求〜)の続き。



Sushi Samurai への未払い賃金の請求がようやく終了。
ようやく、と言っても実は9月にはすべて終わっていた。ただただ書く気があまり起きず、先延ばしになってしまっていただけ。そろそろ細かい所も忘れそうなので残しておこうと思う。
もう終わった話なので、金額も全て公開。

今後または今、給料遅延に巻き込まれた(ている)人は充分に注意してほしい。
特にドイツの飲食店で働く場合、事前にその従業員に給料遅延の有無を必ず確認しておいてほしい。
これ以上の被害者が出ないことを強く強く望みたい。


1.結論
「1セントも手元には残らず。」

訴訟は痛み分け+法律事務所に根こそぎ取られる。結果、気持ち的には完全敗訴。


2.請求内容と勝ち取った金額、および弁護士費用
1) 請求内容
 1.5か月分給料 : 約2,200EUR
◆〇超噺座分給料 : 約200時間分 約2,100EUR 
("残業口座" とは、月169時間以上の時間分を"残業"扱いとして、個々の"口座"へ貯めておくシステム。有給もしくはお金に換えて後に受取れる契約だった。)
 有給休暇分 : 6日分 約400EUR

請求金額合計 : 約4,700EUR
(訴状の上では、税込価格の話になるため、約6,000EUR。)


2) 勝ち取った金額
1,5か月の給料分 : 約1,942 EUR   のみ。

理由
・ 会社側が算出した未払い期間1,5ヵ月分の給料のため、請求した上記,茲蠅眈ない。
 (自分で労働時間を記入して会社へ提出していたが、そもそも管理なんてされていなかった。毎月の給料は、おかかえの税理士と出来るだけ税金が少なくなるように決めているだけ。) 時間管理表なんて、会社側のサインが無いとただの紙切れと同じ扱い。
・ 残業時間、有給休暇未使用日数については、サイン入りの正式書類で残っていないので、棄却。もちろんSushi Samuraiは残業や有休休暇分は認めない、と主張。


3) 弁護士費用

1942 EUR(勝ち取った金額全額)

理由
"その1" で書いた時は1,300EURと言う話だったが、弁護費用は法律上の計算式を元にして、請求金額に対して決まるらしく、訴訟開始直前に聞かされた金額は、2,135EURに大幅上昇。
さすがに、こちらがマイナスにならないように考慮してくれたため、勝ち取った金額が2,135EURを下回った場合は、その受領金額全額を支払う、という契約となった。
結果、見事に下回ったので、全額を弁護士に支払った、というお話。


4) 結果
請求 約4,700EURに対して約1,942 EUR受領。
そして弁護士へ全額支払い。手元には何も残らず。



5) 感想
元々、"手に入らなくてもいいや" と思ってやってきた今回の訴訟。なので、勝ったと言っても良いけど、想像以上にやり取りが多く、さらにはSushi Samurai側の対応も本当に最悪なものだったこともあって、精神面で大変だった。
もちろん、今回の事を通してドイツの事もかなり色々な事を学んだし、自分の事も理解できたのでプラスともいえる。
が、Sushi Samuraiに対する怒りは高まるだけ高まり、オーナーがドイツ人だけに、ドイツ人やドイツの会社に対する悲しさも味わい、結果、残ったのは疲労感。
まぁ、何も行動せずにウダウダするよりは良かったんだろうな、とは思ってはいるけど。

そして、ドイツでやっていく以上は、弁護士保険にしっかり入っておこう。そう強く確信した。
金額的にはそれほどでもなかったので、話のネタにして笑い飛ばしていこう、そう思う。



3.訴訟経緯
Recht 01Recht 02


1) 1月頭  :  弁護士へ相談
2) 1月中旬  :  委任状取り交し+請求内容やり取り
3) 1月末  :  Sushi Samurai 宛てに請求書類送付
4) 2月12日  :  Sushi Samurai 側弁護士より回答
  ・ 給料はすぐに支払うが、残業分は認めない、旨の記載あり
5) 2月末  :  Sushi Samurai 宛てに再請求書類送付 (⇒回答無し)
6) 3月中旬  : 訴状草案作成
7) 3月末  :  訴状提出
8) 4月5日  :  裁判所より第1回口頭弁論の招集連絡受領(4月28日に実施)
9) 4月26日  :  Sushi Samurai 側事情による口頭弁論の延期連絡 (⇒2回延期され5月19日へ)
10) 5月19日  :  第1回口頭弁論 (平行線。裁判官から和解についての助言を受ける)
11) 6月7日  :  裁判所より第2回口頭弁論の招集連絡受領(7月26日に実施)
12) 6月中旬  :  請求資料の信頼性を上げるための補足資料準備
13) 7月26日  :   第2回口頭弁論 (残業時間と有給休暇分について、勝ち取れる可能性が低いと判断)
14) 8月頭  :  弁護士から和解を勧められる、さらに、続けると弁護費用がかさむとの連絡あり
15) 8月末  :  1.5か月分の給料のみの支払いで和解
16) 9月頭  :  Sushi Samurai から口座へ振込み有
17) 9月中旬  :  弁護士事務所へ全額支払い
以上

ほぼすべてメールと電話でのやり取り。口頭弁論も弁護士のみ出席。
特に後半は雲行きも怪しかったので、私自身は無駄な出費を避けて、出向くことはなかった。
かなり簡潔に済ませたつもりだけど、結局半年以上かかってしまった。やっぱり訴訟は大変。。。


4.予防策
"その1" と重複する部分も多いが、すべて終わってみて感じた対策について。
ネガティブになるだけで終わっても仕方ないので、今後のプラスになるように。

1) 勤務管理表 ("その1" も参照)
法律上、労働者自身で毎日の勤務時間管理表を書かないといけないことになっているので、正当に請求できる権利である。
ほとんど全てのお店で、税金対策のために給与明細"Abrechnugn"上の労働時間は抑えられている。(残念ながらこれが紛れも無い現実。) 実際の労働時間(勤務管理表の時間)と書面(給与明細)上の時間が大きく異なる場合は、その点についてオーナーとはっきりさせておくべきである。
さらに注意が必要なのは、残業時間や有給休暇について。これらは正式書類で管理されないことが多い。そういった場合は、自分で管理表を作成し、オーナーのサインを定期的にもらうのが良いだろう。(サインをしてもらった時は、1部を自分用、1部を相手用とすること。)


2) 弁護士保険
ドイツ語が堪能な人は必要ない。労働局に自分で駆け込めばかなり格安で訴訟を起こすことが出来る。ただ、そういった人はそもそもこういった事件に巻き込まれる事は少ないのだろうけど。。
異国の地で言葉の壁を乗り越えるためにはやはり日本語の出来る弁護士が必要。大都市にはそういった弁護士がそこそこいるようである。しかし、今回の私の様にがっつりと取られてしまうので、保険はマストである。

私の場合は、トランスクーラ経由(HomePage)でRolandの保険に入ったが、他にもいくつもあるらしいので好きなものを選ぶと良いだろう。現在入っている保険会社があれば、その会社にも多分あるだろう。


3) 労働契約書の理解
当たり前の事ではあるけど、なかなかドイツ語でびっしり書いてある書面を全て理解する時間が、勤務初めには無いし、恐らく飲食であれば日本語などで説明してもらった内容で納得してしまい、+αの記載内容を気にしないものである。実際にそれで失敗をしてしまったので、今は本当に注意している。

今回の失敗内容は、私の契約書に "労働上で起きた不都合などは4か月以内に提出の事" と書かれていた点である。ここを理解しておらず、弁護士に相談した際に初めて指摘を受けた。
9月中旬にお店を辞めて、1月末に弁護士から請求書類を送ってもらったので、"異議申し立て”が遅すぎたのである。この点に関して担当の弁護士は初期段階から不安を抱いていたし、実際に相手側の弁護士もその点をついてきたようである。
実際に働いた履歴が残っているのに、そんなところを突っ込まれるの?と純粋に感じたわけだが、とにかく "書面" が第一なのである。人情で契約してしまう所がある日本人にはなかなか理解ができない辛い状況である。本当に厄介。


4) 書類の整理・データ化
これに関しては普段から結構やるタイプなので、今回苦労したと言うわけでは無いけれども、この題名を見て ”苦手だ” と感じた人は注意。弁護士とやり取りする時に、働いていた時の書類やメールが必要になるし、弁護士とやり取りをしていく中でも整理が出来ていないとスムーズに対応できなくなってしまうからである。


5) その他
その他はやはりドイツで長年働いている経験者の知り合いがいた方がいいだろう。大都市ならたくさんのそういったつながりも作りやすいが、田舎街ではなかなかそんなチャンスはない。こういった時は日本人コミュニティがしっかりしている街がうらやましく感じる。


5.ブログに頂いた体験談
たくさんのコメントを頂いていて、体験談も頂いているのでコメント欄を参照して頂きたい。さらには、直接のメッセージでも多くの悲痛な体験談も頂いているので一部公開OKを頂いた方の情報をここに紹介しておこうと思う。(私自身の体験では無いのであくまで紹介だけです。質問にも答えられません。)

・ダイデスハイム レストランFUMI の体験談

マンハイム近郊のワイナリーに併設されている日本食レストラン。MIX-Bで求人募集しているのを見かけるお店。



以上、人生初の訴訟が終了。
時間が経つのに、思い出すとSushi Samuraiの前オーナー(今現在は、中国人らしい。ドイツ人前オーナーは、スペインに飛んだとか。。。本当に最悪の人間である。)に対する苛立ちはむしろ前よりも強い気もする。でも、こうやって文字に出来て、ようやく終わったのかな、とも感じている。

こんな思いをする人が少しでも減ってくれると幸いである。