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その1からの続きで、5月6月のブドウ畑について。
この時期は一言でまとめると、"成長"の期間。ぶどう畑では緑が濃くなり、野花も咲き乱れて一気に華やかになっていく。人も多く出て、収穫期に次いでブドウ畑がにぎやかな時期である。

それと共に、新ワインの季節でもある。昨年収穫し、木樽やステンレスタンクで熟成されたワインを瓶詰していく。ワイナリーのレストランは中庭テラス席がオープンし、6月に入ると週末は新ワインを求めるたくさんの人であふれてにぎやかになる。

ぶどう畑もワイナリーもレストランも大忙し。いよいよワイナリーの季節のはじまりはじまり。


1.5月 : 開花前の成長期
新芽が一気に成長していく時期。日に日に成長していくブドウ畑は圧巻。

この時期に行う仕事としては、
1) Stam putzen : 新芽の剪定
2) Abfüllung : 新ワインの瓶詰め
3) Jungrebe : ブドウの植付


1) Stam putzen : 新芽を剪定する
ブドウの新芽があらゆる節から出てくるので、ある程度成長してきたら適度に剪定を行っていく。
ちなみに、8月ごろまで新芽が出続けるので、夏までは常に注意して余計な芽を除去する。

枝が多すぎた場合、密集しすぎて通気性が悪くなり病原菌の原因にもなるし、花の数が多すぎるとブドウの品質が落ちてしまう。
また、新芽が通路方向に伸びてしまうと、トラクターが通った際に傷つけてしまうなど、色々と考えなければいけない点は意外と多い。
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主となる新芽を考えながらの作業だが、このくらいの時点ではまだ見分けにくい。

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一つの節から数個の新芽が出てきている事も多く、メインの新芽を傷つけないように気を付けながら剪定していく。

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そしてもう一つ、メインの幹から直接出てきた芽にも注意。枝の付け根が弱い場合が多く、さらに各枝への均等な栄養分配(木のバランス)を考えて、除去するかどうか考える。写真のように根に近いエリアから出ている枝は基本的に除去する。

なお、土の中から出てきた新芽は100%除去。
ブドウの木は接木されており、地下と地上で品種が異なる。そのため土から出てきた新芽はほとんどの場合根の品種であり、欲しい品種ではないためである。
参考までに写真のブドウの樹の場合、地上部は ワイン用ブドウに最適なヨーロッパ種のRiesling:リースリングで、地下部は根の病害虫に強いアメリカ種のブドウ(リースリング)が使われている。

このような接ぎ木が行われているきっかけは、19世紀にヨーロッパで大流行した病気。アメリカから持ち込まれたブドウについていたフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)が原因となり、ほとんどのブドウが枯れてしまったらしい。その対策として、根に耐性のあるアメリカ種が根に使われるようになったとのこと。(詳しくはwiki参照のこと。)


2) Abfüllung : 新ワインの瓶詰め
2017年のワインの瓶詰。つまり新ワイン。
Weingut Hamm:ハム醸造所の場合は、都2016年のワインの売れ行きを見ながら、リースリングの辛口と中辛、甘口や、Spätburgunder(シュペートブルグンダー;ピノ・ノアールのドイツ語)のロゼ、赤、そしてSekt(ゼクト;ドイツのシャンパン)などを瓶詰していく。小さなワイナリー0なので1ロット1500〜4000本くらい。瓶詰はブドウ畑を世話しつつ、時折8月ごろまで続く。

瓶詰はワイナリーで行うわけでは無く、近所の瓶詰工場を借り切って行う。この辺りのラインガウ地方には小さなワイナリーが多いこともあるが、ドイツでは比較的普通に行われている手法である。(瓶詰方法はドイツのワイン法で定義されており、瓶への表記が求められている。)
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ステンレスタンクから運搬用タンクへ移して瓶詰工場へ移送。

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近所の工場。ワインの生産地域にはこういった瓶詰を行う工場が点在している。

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まずは数種類のフィルターを通してラインの機械へ送られる。2枚目写真は空瓶の洗浄工程。

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1枚目は瓶詰工程、その後スクリューキャップの工程へ。もちろんコルクも可能。

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検査機を通った後に、最後にエチケット(ラベル)を貼り付ける工程へ。

その後人の手によって最終チェックと箱詰め工程で完了。

昔の職である自動車部品会社で見てきた製造ラインとは比べ物にならないくらい簡単なラインだけど、久々に機械を目の前にすると、、ちょっと興奮。。。やっぱ俺は機械が好きなんだなぁ、、と。

ワインの瓶詰前に行うこととして、外部専用機関での検査がある。
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これはとあるワインの検査結果。アルコール度数、残留糖度、SO2(亜硫酸塩)量などが示されている。この検査では品質検査がメインで行われ、基準を満たしたワインには検査No(AP Nummer)が付与され、Qualitaetswein:クヴァリテーツワイン(QbAやQmP)として認められたことになる。
(この辺の所はすこしややこしいので、別途。)


3)Jungrebe : ブドウの植付
ブドウの樹は樹齢だけでなく病原菌や作業中のミスなどで樹がダメになることもあり、歯抜けになった場所への植樹は毎年行われる。
本来は秋の収穫後や早春に行う作業だが、様々な仕事で後回しになってしまった。5月だが今年は晴天が続き非常に暑く、根付くまでの水やりがその後大変なことに。。この辺が家族経営ワイナリーの裏側か。。

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今回はワイナリーの庭で育てた苗と購入した苗の二種類。3枚目が購入苗。

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あとは穴掘って植えてカバーをかけるだけ。と、書くのは簡単だが、ブドウ畑によっては石だらけでスコップが全く入っていかず、なかなかの重労働。。ドリルタイプの穴あけ機があれば楽ちんだが、Hamm醸造所はビオワイナリーでありエコの視点から基本的にすべて手作業。今年の5月は暑すぎる。。。
ちなみに3枚目の緑カバーは、動物に新芽を食べられるのを防ぐため。ラインガウのエリアでは猪やウサギの被害を抑えるためである。

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こちらは昨秋に植えた新規のブドウ畑。3年後から無事に収穫できるだろうか。楽しみである。


2.5月末 : 開花
そうこうしている間に、、5月23日、ついに開花。
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例年よりも3週間ほど早く、2003年以来の早さとのこと。ただ、今年の方が気温は明らかに上で、長期の平均でみてみてもジワジワ開花は早まっており、温暖化をこういったところで感じる。。

温暖化はワイン業界でももちろん大きなテーマで、大学でも二酸化炭素に対するブドウの生育確認のプロジェクトが行われていて、病原菌などの面でも課題だろう。
ワインの道で独り立ちできるのが10年後だとした場合、その時の気候はどうなっているんだろうか。自然に最も左右される分野の一つとも言える農業。温暖化の事を考えた時、ものすごい世界に手を出してしまったなぁ、と感じる瞬間でもある。

さて、本題に戻ろう。。
目安として、開花してから100日後が収穫とされていて、今年の場合このまま暖かい天気が続くと、9月頭もしくは8月末頃に収穫がスタートとなりそう。ちなみに昨年の収穫開始は9月21日。


と思ったら次の日にひょうが降るアクシデント。
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ひどいエリアでは枝は倒れて、葉にも無数のダメージが。

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ただ、花やつぼみへの被害は最小限で済んだのが不幸中の幸い。この程度ならなんとか被害なしで済みそう。

昨年はあるエリアに強いヒョウが降り、一つのブドウ畑の収量が半分以下になったらしく、ヒョウはぶどうの天敵である。この後、再度ひょうが降るようなことが無いように祈るのみ。
自然を相手に仕事をする難しさを日々感じる毎日である。

"その3(ぶどうの成長)" に続く。


「ワイン実習 2018」
ワイナリー実習2018 その1 ; ブドウ畑の準備
ワイナリー実習2018 その3 ; ぶどうの成長
ワイナリー実習2018 その4 ; 収穫と発酵