外国へ来てまず心配なのが病院のシステム。私の場合は急に訪れた耐えきれない歯の痛みだったので、無我夢中で近所の歯医者の受付で初級ドイツ語を駆使してなんとか診察してもらった事を昨日のように覚えている。(必死になればなんとでもなる、とも言えるのだけど。。)

ドイツの医療レベルはもちろん世界でもトップクラスなのでそこを心配する必要はない。薬についても日本の薬の多くがドイツから来ているわけだし、何の心配もない。

ただ、システムがわかっていないと心配である。そこで、経験談を元に病院の仕組みと診療〜薬受け取りまでの流れを簡単に書いておこうと思う。(本来なら病状の説明方法までここで紹介したいけれども、私の稚拙なドイツ語では偉そうに書けない。)

アトピーの薬や保湿剤についてはこちらを参照




1.Hausazt : ホームドクター制度
まず一番のポイントはホームドクター制度であること。診療の流れを簡単に説明するとこんな感じ。

引越(入国)

(新しい)ホームドクターに登録

(歯医者以外の病気)
ホームドクターで診察

(専門性が高い病気の場合、紹介状を出してもらう。)

専門医(皮膚科など)で診察

処方箋を元に薬局で薬を購入


大体の場合は、ホームドクターが処方箋をだしてくれるので、何かあればまずはホームドクターへ行くのがドイツ流。年1回の定期検診などもホームドクターで行ってくれる。


2. ホームドクターの探し方
では、どこにホームドクターのいる病院があるのか。

街を歩き回って注意してみていると、"Arzt:病院" や "Dr.:ドクター"と書かれた看板が意外とたくさんあることに気づく。その中に "Allgemeinarzt" や "Hausarzt" 、"Allgemeinmedizin" と書かれているところがホームドクターのいる病院である。
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1枚目の看板は、一つの建物(見た目は普通のアパート)にいくつかの病院が密集しているタイプ。1枚目写真の左下や2枚目写真の病院がホームドクターのいるトコロである。

もちろん、病院には良し悪しがあるのでインターネットで評価を見てから行くことをお勧めする。病院検索の有名なサイトが "jameda" 。他にも似たようなサイトはあるので好きなものを使うと良いだろう。住所や郵便番号で近くの病院を探すことが出来るので、ホームドクターに限らず、歯医者や専門医を探すのにも便利。


3.病院に関するドイツ語
Google翻訳で簡単に調べることが出来るけど、一応一般的なドイツ語はこのような感じ。
ホームドクター : Hausarzt ・ Allgemainarzt
内科 : Internist、耳鼻科 : Hals Nasen Ohren Arzt (略してHNO)
歯科 : Zahnarzt、眼科 : Augenarzt
外科 : Chirurgie、整形外科 : Orthopädie
皮膚科 : Dermatologie ・ Hautarzt、婦人科 : Frauenarzt
産婦人科 : Gynäkologie、小児科 : Pädiatrie ・ Kinderarzt
などなど。

4.Hausarzt:ホームドクター への申込方法
気に入ったHausarztが見つかったら、病院へGO(予約なしで良い)。 そして受付で、Hausarztの申込をしたい、と伝えると、"Gesundheitskarte : 健康保険カード" を要求される。あとは電話番号を口頭で伝えるくらい。(特に記入するものは基本的には無い。)
旅行保険や留学保険の場合は、保険証書(できればドイツ語版、無ければ英語版)を見せる。


5.予約
基本的にどの病院も予約制が多いが、小さな街だと Hausarzt;ホームドクター は予約なしで見てくれることが多い。
電話で予約することが困難な場合は、受付へ直接行き、予約を取ると良いだろう。(患者が少ない場合は、結構な確率でそのまま診察してくれる。)


6.診療
最初の頃はここが緊張するところだけど、説明がその場でムツカシイ場合は、伝いたい単語だけでもしっかりと事前に調べておけばOK。ほとんどの先生は優しいので。


7.専門医への紹介状
まずはどんなことでもHausarztへ行くこと。
日本で使っていた塗り薬と同じようなものが欲しかったので、成分を伝えてこれが欲しい、と伝えたところ、皮膚科への紹介状を書いてくれることになった。
Ueberweisungsschein 01_1600

これが紹介状。内容としては、 "アトピーなので血液検査をしてもらいたい。" と言った感じ。
紹介状自体は、指定の皮膚科があるわけでは無いので、自分の気に入った皮膚科へこれを持って出向くことになる。

ちなみに、、、
専門医(歯医者は除く)に直接連絡を取ると大体の場合断られてしまう。そして、まずはホームドクターに行ってくれ、と言われるのがオチである。
最初の頃に、アトピーが悪化して皮膚科にどうしても行きたくなりネットで検索。2件の皮膚科に直接電話をして予約をとろうとしたが、、(下手なドイツ語で伝わらなかったのかもしれないけど、、)その時は7月だったのに「今年いっぱいは予約が取れない」、とすっごい冷たく言われた経験がある。つまりは直接電話してくるな、ってことなんだろう。それ以降は、どんなことでもまずはHausarztへ行くことにしている。

さらに補足としては、歯医者は別で、直接歯医者へ出向いて予約を取り、診療を受ける流れとなる。


8.専門医にて
紹介状を持って専門医を訪問すると、そこで再度予約が必要となる。
皮膚科は日本と同じようにドイツでも予約が取りづらい。1か月後くらいしか予約が取れないこともあったりする。そのため、すぐに薬が欲しい場合は、Hausarztでその旨を伝えた方が良いだろう。皮膚科でも急ぎの場合は最短で予約を入れてくれることもあるが、Hausarztの方が融通がききやすい。


9.休職証明証
病気によって仕事に行けない場合は、"休職証明書;Arbeitsunfähigkeitsbescheinigung" をもらっておく必要がある。(会社によって規定が異なるようで、1日の休職には必要が無い会社もある。)
Bescheinigung 01_1600

3枚組になっていて、会社提出用、保険会社提出用(会社経由で提出)、本人控え、となっていた。ちなみに、上の紙は、4月18日〜20日までの休業証明書。

いろいろな人と接してきたが、、、ドイツ人はすぐ休む。"ちょっと頭痛がする" 程度でも休職証明書はでるし、なんなら、この証明証をもらうためにHausarztに行く、なんて場面も見たことがある。。同僚が日本人だとなかなかそんな場面には出くわさないだろうけど、ドイツ人の会社で働く場合、体調悪いから休む、と言う連絡が結構頻繁に来ることになるだろう。。日本でバリバリのサラリーマンだった身からするとかなりカルチャーショックな部分。


10.支払い、次回予約
基本的に病院での支払いは無い。
なので、先生の診療が終わり、処方箋や予約の必要が無い場合は、受付にお礼でも言ってそのまま帰宅となる。なんか無銭飲食(診療?)している気分で、最初はなんだか悪い気持ちになる。

なお、"Gesundheitskarte : 健康保険カード" ではなく、留学保険や旅行保険などを使用する場合は、後日病院から振込用紙届くので、自分でまずは支払いを行う。(結構高額になることも。)その後、加入している保険会社へ申請し、審査を経て既定の金額が口座に振り込まれる流れとなる。この辺は、保険会社によって手順も異なると思うので、都度確認するのが良いだろう。


11.処方箋
日本と同じく、"処方箋:Rezept" が必要な薬と必要ない薬(市販薬)がある。さらには保険が効く薬と効かない薬があり、それらは処方箋の色で分けられている。
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赤:保険の効く薬、緑:処方箋の必要な薬、青:市販薬。さらに黄色もあり、危険度の高い強い薬(鎮痛剤、医療用麻薬など)に使われる。
基本的に、赤の処方箋の場合は自己負担は5€が目安。その他は自費負担となる。
別ページのコメントにて"ちぇりー"さんに教えて頂き、調べてみました。)


12.薬局にて
もらった処方箋をもって薬局へ。ここで日本と異なるのが飲み薬の購入方法。
飲み薬は原則として箱買いとなる。
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こちらは、ステロイドの飲み薬"Prednisolon acis 20mg : プレドニゾロン"(要処方箋)。医者からは3日(計3錠)だけ飲みなさい、と言われたが、1箱なので20錠入りを購入することになる。残り17錠は"自己管理"となるところが面白いところ。


薬について、面白いというか便利なことが一つ。
薬とか医学の言葉はドイツ語から来ているものが多いので、薬の名前をカタカナ読みに直してインターネットで検索すると、たいてい日本語がヒットする。日本語に簡単に訳せるのはありがたい。
例えば、アトピー用のステロイド薬の場合、、
・ Hydrocortison : ハイドロコルチゾン(ヒドロコルチゾン) 日本語の検索結果がこちら(wiki)
・ Prednisolon : プレドニゾロン 日本語の検索結果がこちら
たいてい、医者が説明してくれる細かいドイツ語内容はわからないので、、、とってもとっても便利。


こんな感じがドイツでの診療ルール。
皮膚科はとても混んでいるので、空いているホームドクターをうまく使っていつもの薬をもらうようにしている。今後も自分に合った付き合い方で、ドイツで健康に過ごしていこうと思う。

アトピーの薬や保湿剤についてはこちらを参照