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ワインの勉強を始めてずっとお世話になっているHammワイナリーについてご紹介。
(ワイナリー見学や試飲の案内をご希望の方は一番下をご覧ください。)

"Rheingau;ラインガウ地方" にある、4世代続く家族経営のワイナリー。BIOの認証を受けて約30年。ブドウ畑は7ha弱。年間4万本弱のワインを生産している。所在地はリューデスハイムからもほど近い"Oestrich Winkel;エストリッヒヴィンケル"。Google Mapはこちら。ここ数年で世代交代を終え、実質的な作業・管理に関しては父親のKarl Heinz Hammから娘のAurelia(オレリア)(と息子のJulius(ユリウス))へ引き継がれたばかり。Rheingauの正統派BIOワイナリーとしてはすでに有名となっているが、これまでの長い歴史に新しい若い流れが加わって、さらに大きく羽ばたきそうな予感を感じさせる。


1.Weingut Hamm;Hammワイナリーの紹介
ここではVDP(ドイツ・プレディカーツワイン生産者協会)のHPに掲載されているインタビューを一部改変して紹介。原版はこちら(ドイツ語もしくは英語)


1)Hammワイナリーの特徴
Karl Heinz Hamm(父)※1:1990年から約30年間BIOワイナリーの認証を得ており、生きた土壌にクオリティの高いブドウ、そして持続可能な栽培を行っていることに対しての評価だと考えています。Winkelに所有している畑には55年以上の古樹もあり、そのブドウから造られたワインは特に力強く高いポテンシャルを感じることが出来ます。
(※1 現在はKarl Heinz Hammがオーナーだが、Kellermeisterは娘のAurelia Hammに引き継がれている。)
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2)ワインの方向性について
Karl Heinz Hamm:栽培している90%以上がリースリングであり、それぞれの畑やワインごとに個性を持たせています。例えば、情熱的な "Gutswein;グーツワイン" 、木樽で発酵熟成させた "Altereben(古樹);アルテレーベン" さらには ブドウの自力を活かして発酵させた "Dachsberg;ダックスベルグ" など。ポテンシャルと深みのある、そしてエレガントさを意識した造り方をしています。
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3)所有するブドウ畑
Karl Heinz Hamm:HammのワインはVDPにて認証を受けた、"VDP. GROSSE LAGE;特級畑" または"VDP. ERSTE LAGE;1級畑" を主体として、Winkelの高台に位置する石を多く含む "Dachsberg"、Johannisberg(ヨハニスベルグ)そばにある粘土質の "Hasensprung"、さらにライン川沿いに広がる砂地の "Jesuitengarten" など、実にバラエティに富んだ土壌の畑を所有しています。
Winkel-Weinberg


4)最初にHammワインを試すとするとどのワインがお勧めか?
Karl Heinz Hamm:VDP Gutswein;グーツワイン である "Rheingau Riesling;ラインガウリースリング" の "trocken もしくは feinherb;辛口または中辛" をお勧めしたいです。これらはHammのフィロソフィーを明確に示しています。さらには、もちろんVDP Ortswein;オーツワイン へも踏み込んでもらいたいです。例えば、"Alte Reben;古樹" のシリーズなど。
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5)特に誇りを持っているのはどのワイン?
Karl Heinz Hamm:それぞれのワインにキャラクターがあり、すべてに我々は誇りを持っています。特にライン川の沖積土壌である "Jesuitengarten;イエズイテンガーテン" 、黄粘土質の "Hasensprung;ハーゼンシュプルング" 、赤粘板岩(スレート)を含む "Dachsberg;ダックスベルグ" 、そして標高の違いからくる天候の違い、いずれもワインの性格を特徴付ける要素となっており、我々はそれらの個性をうまく反映させたワイン造りを行っています。
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6)ワイン醸造家となるきっかけ
Aurelia Hamm: ワイナリーの子供として、小さいころからすばらしさを感じ取っていたわけでは無く、一度家から離れて外から実家のワイナリーを見てみたところ、その素晴らしい可能性に改めて気付くことが出来ました。こうやって家族の歴史を引き継ぐことが出来ることは、素晴らしい事だと感じています。
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7)手本となる人や物について
Aurelia Hamm: 幸運なことにたくさんの人に恵まれ、これからも支えられ手本にしながら将来の計画や意思を固めていきたいと考えています。

8)将来的な目標について
Karl Heinz Hamm:現在の目標は子供(Aurelia, Julius)の世代へしっかりと引き継ぐことです。
(現在、すでに娘の Aurelia HammがKellermeisterinとして醸造を引き継いでおり、息子の Julius Hamm;ユリウス もガイゼンハイム大学で醸造学を勉強中。父親のKarl Heinz Hammはサポートに当役に回っている。)
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9)Hammの伝統について
Aurelia Hamm: 4代目として、もちろん伝統を心に留めて発展させていきます。BIOワイナリーへと転換した父を誇りに思っており、ブドウ造りの場で一度も化学薬品を見たことが無いこと、これは何ものにも代え難い賞賛されるべき仕事だと感じています。
この歴史をしっかりと次の世代へつなげていく意識もあり、そのためには父の教えをベースにして、かつ新しい若い考えも取り入れて進化させていくつもりです。

10)なぜHammワイナリーには多くの訪問者があるのか?
もちろん、ラインガウは年間を通して多くの訪問者があります。特に春から秋は素晴らしい場所であり、そういった訪問者へワインと共に美味しい料理を提供している "Gutsausschank;グーツアウスシャンク(ワイナリー併設のレストラン)※2 " の役割も大きいと感じています。ここでは様々な美味しい料理が自慢のワインと共に味わうことが出来ます。400年を超える建物に囲まれた素敵な中庭にはキウィやイチジクもあり、さらには歴史のある建物の客室でもその素晴らしい時間を楽しむことができます。是非 "Hamm'onizes;Hammのハーモニー" を味わいに来てください。なお、レストランは春〜秋まで(冬季休業)。
(※2 フランスでの修行経験もあるChristine Hamm(母親)が料理長として腕を振るっている。)
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2.日本(ワイン)との深いつながり
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現オーナーのKarl Heinz Hamm の祖父の兄弟である "Heinrich Hamm;ハインリッヒ ハム" 氏は実は日本ワインの発展に非常に重要な役割を果たされた方。wikipedia(こちら)のページもあるほど。
1912年に日本の行政機関から依頼を受けて、Heinrich Hamm氏を中心とした一団が日本へ派遣された。特にHeinrich氏は当時最先端だったヨーロッパの接ぎ木技術を伝えると共にリースリングを最初に日本へ持ち込んだ人物として知られている。
少し時代はさかのぼり、19世紀の終わりにヨーロッパを中心に(少し遅れて日本でも)ブドウネアブラムシの病気(フィロキセラ)が大流行し、ブドウが壊滅的にやられる一大事が起きていた。原因は北アメリカ産のブドウについていたブドウネアブラムシ。1863年に南フランスへ持ち込まれた後20年間ほどでヨーロッパのぶどうを壊滅的な状況へ追い込んだフィロキセラ病、この解決策として行われたのが、アメリカ種との接ぎ木である。ブドウネアブラムシはその名の通り根っこに寄生するため、地下(根)の部分だけをフィロキセラ耐性を持つアメリカ種にすることで解決となったわけである。
フィロキセラについてはこちら(wiki)
そして、この技術を日本へ持ち込んだのがHeinrich氏と言うわけである。すでにワイン用ブドウの栽培が始まっていた山梨でこの技術を伝えた。その際のワイナリーが登美の丘にあった登美農園であり、現在のサントリー登美の丘ワイナリーである。サントリーのワイン博物館には、Hamm醸造所から寄贈されたHeinrich氏ゆかりの品々が展示されている。

Heinrich氏が来日して2年ほどで第一次世界大戦が始まり、ドイツは敵国だったためにHeinrich氏は浅草と習志野の俘虜収容所へ収容されてしまう。その後戦争終了と共にドイツへ帰国したため、日本でのワインプロジェクトは未完のままとなってしまった。(その後サントリーが引き継いで発展させている。)
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ドイツ帰国後のHeinrich氏(左から2番目)


面白いのが、Heinrich氏は日本滞在中、ずっと日記を書いており今でもそれがHamm醸造所に残っていること。当時のドイツ語と現在のドイツ語はやや異なるために、現在の若者では理解が難しいらしい。そのため、当時のドイツ語を勉強している方に協力を仰いで現代ドイツ語への翻訳を現在行っているところである。収容所へいた際の日記は一部翻訳が終わっており、ネット上にも公開されている。


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「Augenzeugenberichte」→「Hamm」の所に「Asakusa」と「Narashino」の日記が公開されており、東京や長野(習志野)でどういった生活をしていたが細かく描写されている。ドイツ語だが、Google翻訳でも結構流れを理解できるので、興味のある方は是非。
ちなみに、このHPは第一次大戦中に中国(や日本)にあったドイツ人収容所についてのデータをまとめたページなので、Heinrich氏がワインを指南していた初期のころについての記述はない。なお、その初期の日記については現在も翻訳が続けられている。
さらに、Heinrich氏は当時の日本を写した様々な写真もドイツへ持ち帰っており、今でもHammワイナリーで大切に保管されている。

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当時の東京駅(1枚目)と湘南七里ヶ浜(2枚目)である。当時の日本を知ることのできる貴重な資料であり、このような写真を他にも多数見ることができる。


3.Hammのワイン
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2018年ワインのラインナップ
すべてBIOワイン。(価格はインターネット価格。ワイナリーにて購入の場合、1€割引。)

1)白ワイン; Riesting リースリング
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2018 Hammlet Riesling, Deutscher Qualitätswein, 0.75L, 7.50€
スッキリとフレッシュな味わい。白身の刺身やサラダなどサッパリとした料理に。

2018 Rheingau Riesling trocken, VDP. Gutswein, 0.75L, 8.80€
2018 Rheingau Riesling feinherb, VDP. Gutswein, 0.75L, 8.80€
Hammワイナリーの方向性を体現したワイン。バランスが良くハーモニーを感じる味わい。 火を入れた魚料理やササミを使った料理に。

2018 Rheingau Riesling Junge Reben, VDP Prädikatswein, 0.75L, 10,50€
10年前後の若い樹から採れるブドウで仕立てたワイン。フレッシュさと共に高い力強さを感じる。刺身全般、塩から揚げなど、やや味の強い料理と共に。

2018 Riesling Kabinett trocken, VDP Prädikatswein, 0.75L, 9,80€
2018 Riesling Kabinett feinfruchtig, VDP Prädikatswein, 0.75L, 9,80€
酸味を抑えてフルーティさと共にリースリングの豊かな香りを楽しめるカビネット。trocken;辛口の味の深みは素晴らしく、個人的には1番のお気に入り。トマトソースや香草の効いた鶏肉料理などと共に。

2018 Winkel Riesling Alte Reben trocken, VDP Ortswein, 0.75L, 14,50€
2017 Winkel Riesling Alte Reben feinherb, VDP Ortswein, 0.75L, 13,90€
2018 Winkel Riesling Alte Reben Spätlese, VDP Ortswein, 0.75L, 16,90€
古樹(30年以上〜55年)のブドウで造られたAlte Rebenシリーズ。古樹の持つリースリング本来の味の深みがしっかりと感じられエレガントさが際立つ。全て手摘みで特に丹精込めて仕込まれている。trocken;辛口は肉料理との相性も良く、feinherb;味の広がりがスムーズな中辛は寿司など、さらにSpätleseはクリーミー系のチーズやデザートとともに。

2018 Winkler Dachsberg trocken, VDP Erste Lage, 0.75L, 16,90€
もっとも高台にあるDachsbergで採れたブドウを使用。ブドウの持つ力強さを活かし、木樽に中で自然発酵させて仕立てられている。さらにミネラルを含む土壌の影響もあり、味と香りの広がりは素晴らしく、じっくりと味わいたいワイン。香草などを使用したスパイシーな焼き料理と共に。

<Schatzkammer;リースリング ヴィンテージワイン>
ワインケラーには1960年代からのRiesling ヴィンテージワインがあり、黄金に輝く気品高い各年代のワインが保存されている。レストランでは1989年のSpätlese torcken や1999年のSpätleseを楽しめる。その他にも1990年や1993年、2005年などの当たり年ワインは格別で、歴史を感じる気品あふれる味わいでおススメ。Auslese, Beerenauslese, Torckenbeerenauslse (貴腐ワイン) などももちろん揃えている。年代、種類、価格などはワイナリーにその都度確認要。


2)赤ワイン; Spätburgunder (Pinot noir) ;シュペートブルグンダー(ピノノアール)
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2018 Hammlet Blanc de Noir, Deutscher Qualitätswein, 0.75L, 7.50€
黒ぶどうを白ワインの手法で仕立てたこの"Blanc de Noir(ブロン デ ノア)"。本来赤ワインは皮や果肉、種と共に醸造するが、これは圧搾後に果汁だけで醸造したもの。そのためタンニンやフェノールは少なく甘みのあるフルーティな味わいで軽く頂ける。レストランでは女性に人気で、昼にも良く出るワイン。前菜と共に楽しみたい。

2018 Spätburgunder Rose, VDP. Gutswein, 0.75L, 8.80€
醸造時の皮とのコンタクト時間を短くして作られるロゼ。タンニンは少なめでスッキリとした味わい。特にフルーティな香りが楽しめる。こちらも前菜や魚、鶏肉料理にもよく合う。

Spätburgunder Tradition, VDP. Gutswein, 0.75L, 9.80€
Cuveeで仕立てられており、木樽で熟成されたエレガントな味とステンレスタンクで熟成された比較的フレッシュな味わいの両方を感じることが出来る。フルーティでボディは軽め。ガーリック系の肉料理に合う。

2014 Spätburgunder Aus dem Groβen Holz, VDP. Gutswein, 0.75L, 11.90€
木樽でしっかりと熟成され、しっかりとしたボディを持つ。比較的スッキリとしたタンニンを感じつつ、スモモやベリー系のアロマが香る。肉料理全般に非常に合う。

2015 Spätburgunder Tradition Alte Reben, VDP. Gutswein, 0.75L, 15.90€
木樽で熟成されたこのワインは、タンニンが強くボディもしっかりとしている。香りも豊かで赤ワイン好きにお勧めの一本。肉料理と共に味わいたい。


3)ゼクト
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Cuvee Aurelia brut, 0.75L, 15.90€
Spätburgunder Blanc de Noirのゼクト。しっかりと熟成された味わいと共にとにかく香りの広がりが素晴らしい一本。

(現在、リースリングのゼクトは品切れ中。)


4. ワインの注文
EU圏内への発送の場合はこちらのHPより。

HPのみのお得なセット販売もあり。

日本への発送の場合は、E-Mailにて事前の問い合わせを。(ドイツ語または英語)

注文に不安がある方は私にブログのメッセージにて連絡を頂ければ対応可。好みのワインがわからない方も相談に乗ります。

ワイナリーやブドウ畑の見学をご希望の方
これまでも数組の旅行者の方をご案内してきましたが、Hammワイナリーの見学(ワインセラー、ブドウ畑など)や試飲をご希望の方はご連絡ください。レストランオープンの季節(春から秋)であればお食事もセットでオーガナイズすることもできますし、ラインガウ地方の他のワイナリーもご希望であれば、事前に交渉などもして一緒に巡ることも可能です。
ただし、仕事としてやっているわけでは全くないので、大学の講義や仕事が優先です。そのため日時はかなり限定されてしまいます。
興味のある方は時間に余裕をもってこのブログのメッセージ欄からご連絡ください。

日本では東京の一部のお店でしか扱っていないHammのワイン。
個人的にはとってもお勧めです。是非是非!