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2020年のブドウ成長記録。自宅そばのリューデスハイムからOestrich-Winkel辺りにかけてのブドウ畑を観察して記載。(主にリースリング) 収穫及び醸造過程はWeingut Hamm;Hammワイナリー(Oestrich-Winkel)にて。


9月5日 「BBCH 89:Vollreife der Beeren(完熟)」
ライン川沿いの畑では熟成がかなり進んでおり、一部完熟に近いぶどうもチラホラと出てきた。糖度は 82 Oechsle :約17度。
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透き通ったブドウ果実。自然の芸術とも言えるなぁ、とか感じながらつまみ食い。。甘みと酸味のバランスも良く、良いワインになってくれそう。

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光に当てて最終的な熟成を促すために、葉を除去するのもこの時期。1枚目は片面のみ除去、2枚目はぶどう周辺の全ての葉を除去した例。(この辺りの処置タイミングや方法はワイナリーによって全く異なるのだが。)

雨が少ないこともあり、今年はボトリティス菌が全体的に少なく、ブドウの品質としてはとてもいい状況。ボトリティス菌はいわゆる貴腐菌なので良い側面もあるのだが、独特な味がワインに出てくるし、発酵をしっかりとコントロールする上では少ない方が良い。
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1枚目がボトリティス菌が付いた果実。それが良い環境下で水分が蒸発してくれると2枚目に数粒写っているしぼんだレーズンの様な状態になる。これがいわゆる貴腐ワインの果実である。これがまためちゃくちゃ甘くて、この時期のブドウ畑作業の楽しみの一つでもある。

本収穫開始まであと2週間。このためにみんな1年間やってきたわけだし、忙しいけど思いっきり楽しもう。
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この記事に出てくるBBCHコードとは、、、
"die Biologische Bundesanstalt, Bundessortenamt und CHemische Industrie" の略で、ドイツで用いられるブドウの樹の成長度合いを表すコードの事。
BBCH Nr


過去の成長記録



2020年 Rheingau:ラインガウ の天候データとブドウの成長具合
Wetterdaten-2020

 今年の天候と育成状態の総括
2020年は1月から3月にかけて非常に暖かい日が続き、その結果、過去最も暑かった2018年よりも1週間ほども早く発芽。そのまま暖かい日が続いたことで開花も2018年に次いで早い5月31日となっている。その後、6月以降は雨は少ないものの厚さはひと段落。7月中旬ごろから日中は30℃越えが続き暑い日が8月中旬まで続くものの、朝晩は25℃以下まで下がっていて2018年程の猛暑では無い。9月下旬になり、朝晩は15℃以下、昼もMAXでも27℃くらいまでとなり、一気に秋めく天気に。雨は相変わらず少なく、ブドウの病気も少なくて順調な生育。この寒暖差がドイツワインらしいフルーティさを際立たせてくれる年になってくれそうな予感。南ドイツでは9月頭から収穫が開始されているが、ラインガウは概ね9月中旬〜下旬に開始となりそうである。(あくまで個人的な予測。)

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9月1日 「Esca weg(エスカの除去)」
"エスカ"とはEUを中心に広がっているブドウの病気。菌により広がり、効果的な農薬がない(禁止されている)ため、第2の"フィロキセラ"とも危惧されている。(フィロキセラについてはこちら参照)

病気についてはここでは詳しくは書かないが、収穫前にこれを除去しておくことが望ましい。なぜなら、Esca病にかかった樹は数年かけて弱っていくため、熟成を仕切れない酸味や苦みの残った果実となることがあるため。収穫はたいていの場合、バイトの子とかが来て行うため、そういった収穫時に果実の選定が出来ない場合が多い。そのため、下の Sonnenbrannd などと同様に、先に収穫したくないものは除去しておくべきなのである。

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Esca病初期の樹。このまま症状が進行すると2〜3年ほどでこの樹も枯れてしまうだろう。

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枯れてしまった樹は菌が飛ばないように丁寧に取り除く。カットした枝や葉は別の場所にまとめて置き、焼却する。

Hammワイナリーの畑の一部ではEscaが広がっているので、5年くらいしたら植え替えしなきゃいけないんだろうな。。そこまでに環境にやさしい薬がでてくれるといいのだが。。


8月31日 「BBCH 85:Weichwerden der Beeren(果実が柔らかくなる)」
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8月末になり、だいぶ朝晩は気温が下がるようになって秋めいてくると、一気に熟成も進んでいく。光が当たると、透き通るようになり、次第にゴールド色に。光を通した果実はとても美しい。糖度は平均で 50 Oechsle(エクスレ):10度を超えてきており、収穫までは3週間と言ったところだろうか。

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雷雨が時折あるものの、今年は天気がとても安定しており、かつ暑すぎないので、とても平均的な天候、と言ったところ。とは言え、春から初夏が暑かったこともあり、平均よりだいぶ早く収穫になりそう。


8月25日 「Kellerputzen(セラーの掃除;収穫の準備)」
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ブドウ畑の作業の合間を縫って、セラーの大掃除。タンクの継ぎ手類はバラして、Oリングなどのチェックもしながら化学的に清潔にしていく。Bioでありエコにも力を入れていることもあり、洗浄剤は使用せず、昔ながらのナトロン(重曹)とクエン酸で。いよいよ収穫期に向けて気持ちが高ぶっていく作業でもある。


8月20日 「Sonnenbrannd weg(日焼けブドウの除去)」
一般的にこの ”Sonnennbrannd(日焼け)” を収穫前に除去する作業は行われないことが多い。
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が、HammワイナリーはBioワイナリーで手をかけていることもあるし、何より日焼けしたブドウが持つ苦みを嫌う。スッキリとしたリースリングには日焼けしたブドウは厄介者。手間をかけて出来るだけ除去。

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さらには、ハチなどの虫にやられている果実も出来るだけ取り除く。

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Spätburgunder は順調に熟成が進行中。味見してみるとまだまだ酸味が強いものの、甘みもほのかに感じられるようになってきた。2枚目はラインガウでは有名な "ヨハニスベルグ"。


8月11日 「BBCH 83:Beeren Aufhellung(果実の色変化期・色付き)」
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Spätburgunder(シュペートブルグンダー;ピノノアール)はかなり色付いてきている。リースリングに比べると熟成がやや早い。2枚目のリースリングはまだまだ緑色が強いものの、光に当たるとやや熟成が進んでいることが見て取れる。

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この時期に行う事としては、芽かき。芽かき自体は畑で作業をする時はいつも気にするべき作業ではあるが、ある程度しっかりと芽かきをすることで、熟成タイミングの遅れた実をなくすことが出来るし、葉や枝の密度を減らすことで実の病気を予防することを目的としている。

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夏の空が広がるリューデスハイム方向。右奥に見えるのが、St.Hildegard(ヒルデガルド修道院)。


8月6日 「BBCH 81:Beginn der Reife(熟成期のはじまり)」
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熟成期の開始については見た目ではなかなか判断が難しいが、ブドウの大きさが安定してくると、次の変化は実の色。1枚目写真のように、光に当たると少し明るい色になってくる。同じ畑でも成長にはばらつきがあるものの、この辺りで熟成期へ移行したと考えて良さそう。

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昼は35℃前後まで上がることもあり、朝早めに畑へ。涼しい畑から見る日の出はとてもとても美しい。そして2枚目はワイナリーそばの好きな路地。


7月28日 「Jungerebe pflegen ; 若樹の手入れ」
ブドウが順調に成長をし続けている間に、3年目のブドウの樹をお手入れ。
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樹を植えて3年が経った畑。畑の中でも成長は結構バラバラ。水分の流れや土の養分が主にかかわっているわけだけど、一部では気温の上昇によって環境が変化してきているので、同じリースリングでも接ぎ木した土台(根)の樹の種類によっては、成長に差が出る、と言う人もいる。

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3年目の平均的な樹がこのような状態。少し実も付けていて、幹もしっかりと太ってきている。この辺で今後の樹のデザインを決めておく必要があり、今回はそれを行うことにした。

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リースリングは "コルドン" と呼ばれる剪定でもしっかりと実を付ける品種であり、この畑は "コルドン" で剪定することに。なっている実は全て落とし、綺麗に上に伸びている枝の3〜4つの節(次年度の芽)を残してカットしていく。と共に、1本は長く残しておき、冬の本剪定時の選択肢を残しておくようにした。
この畑は来年、4年目からの収穫が予定されている。


7月17日 「BBCH 75:Beeren sind erbsengroβ(粒の大きさがエンドウ豆大)」
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6月の下旬から気温が落ち着き、朝晩の冷え込みが続いているここラインガウ。開花自体は非常に早かったものの、そこからここまでの大きさになるまでの成長スピードはゆっくりめ。この1週間は夜に夕立の様に雨が降ることが割と多く、その影響もあって少し病気が出始めている。
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発生状況からすると、Plasmopara viticola つまり "べと病菌" だと思われる。今後の天候にも要注意である。


7月01日 「BBCH 73:Beeren sind Schrotkorngröβ(粒の大きさが大麦の粒大)」
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ちょっと大麦大よりも大きくなっているが、、ここ最近一気に実が大きくなりだしていることを実感する。時折の夕立などで水分が供給されていることも大きいのだろう。畑の作業も急ピッチで進めていかなくては!!


6月24日 「BBCH 71:Fruchtknoten beginnen sich zu vergröβern(果実の成長開始)」
どんどん成長を続けるブドウ達。ブドウ畑で作業をしているとエネルギーをとても感じる時期でもある。もちろん、下草たちもものすごい成長スピード。。。
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この時期の大事な仕事は、枝の誘引 "Heften"。ブドウ達はとってもわがままなので、360° 色んな方向に伸びてくれて、トラクターが通る通路に飛び出してしまう。そこで、支柱間にあらかじめ張られている2本のワイヤーの間に枝を差し込み、なるべく上に伸びるように誘引してあげる作業。
それと同時に、タイミングが遅れて出てくる 脇芽 "Geiztrieb" を取り除き、ブドウの実や葉が密集しすぎないようにしてやることもとても重要。これを怠ると、風通しが悪いがために色々な菌が発生し、主にはべと病やボトリティス菌などの被害につながってしまう。
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これが "樹の掃除" をしてあげた前後。2枚目の写真の様に、実のエリアをスッキリさせてあげることが重要。ただし、葉っぱをとり過ぎると日焼けなどの害も出るので、そのブドウ畑の過去の傾向や樹の向き・天候の予想なども考えながら行う事が重要。Hammワイナリーの場合は、葉を取り除く"Entblättern"はまだ先の話。

なお、他の多くのワイナリーではこの作業を機械で行う。機械で行うとこんな感じ。
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これはガイゼンハイム大学のブドウ畑の様子で、かなり早い段階で、ブドウの実の周りの葉をほとんど取り除いてしまう。機械だと早いが実も枝も痛む。Hammのスタイルでは無い。が多くのワイナリーではこういった機械を積極的に使用しているのが現状。


3月〜5月 「発芽と開花」
実はこの期間、日本に滞在していたので写真が無い。1か月の休暇予定だったが、コロナで4か月の滞在となり6月頭にようやくドイツへ帰国。2週間の自主隔離を経てワイナリーの仕事に復帰。

発芽や開花の写真はネットなどのリンクを貼っても良いのだけれど、発芽と開花の写真は2018年2019年の記事を参考にしてもらえれば、と思う。
ちなみに、今年の発芽は4月10日、開花は5月31日。例年よりもかなり早い状況で、2018年に似た状況となっている。この後の気温次第では、今年もかなり早い収穫開始となるかもしれない。


1月 「冬のブドウ畑」
ブドウの樹が完全に眠りについている冬。年が明け、少し間をおいてブドウ畑での作業も静かにスタートし始める。
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この時期に行うことは、剪定 "Abschneiden"。今年の樹のデザインを決めるだけでなく、ぶどうの収穫量や作業性にも影響が出る経験のいる作業。
もう少し詳しく知りたい方はこちらを。。

ちなみに、例年Hammワイナリーはどの作業開始も他のワイナリーに比べて遅めなので、まだ始まらない。主にワインセラー内の仕事がメインの日々。